探偵の思い出:ふたりの調査員は今日も帰り道は無言だ

20年間以上前の出来事

 

浮気調査

 

愛情問題に関する調査には、さまざまな形がある

妻から夫の浮気を疑う

夫から妻の浮気を疑う

愛人が二人目の愛人の存在を疑う

結婚はしていないが、自分以外の人物との恋愛を疑う

第三者からの依頼 (親族、会社内) 

上記5パターンとなる

 

今回は1について話します。

 

ありふれた浮気調査

弁護士からのご紹介

 

40代の女性が力ない笑顔で青山探調査事務所に入って来る

相談内容 『夫が浮気をしている様に思える』

 

疑いの理由

1、最近、話しかけても素っ気ない態度

2、最近、着衣、髪形などオシャレになっている

3、お金を多く使っている

4、帰宅が深夜になる

 

なんと、わかりやすい

尾行による調査はあさっての日曜日

 

調査開始場所 マンション(依頼人と調査対象者の夫が暮らす低層マンション)

 

AM11:00   夫はマンションから徒歩で茅ヶ崎駅まで歩き、電車に乗る

車輌のガラスで髪形を整えている

横浜駅で降りる そごうデパート前で30代と思われる女性と合流する

お互い恥ずかし気な笑顔、女性は上目使い、夫は女性のカバンを持つ

付き合いの浅さが、ういういしさから伝わって来る

女性から男性の手を取り手をつなぎデパート内に入る

夫は女性にワンピースを買ってあげている

女性は少女の様な笑顔で夫を見上げている

 

依頼人である妻に携帯電話で報告する

『なんとしても、証拠写真と女性の住所を知りたい』

二人はイタリアンレストランで赤ワインとサラダとパスタ

お互い見つめ合う笑顔が、調査員の胸を詰まらせる

 

なぜなら、夫、女性、依頼人である妻 3人が、この先、複雑に絡み合う感情のもつれを予想できるからだ。

食事を終え、二人は海辺のベンチに座り、言葉少なく海を眺めている

15分ほど歩き、ラブホテルに入る、同所からすぐに出て来る

満室、高い部屋しか空いていないからか?

【すぐにホテルから出て来る事はよくある事です】

※探偵は経験から知っている、油断しない

         

隣のホテルに入る10分間出てこない

依頼人の妻に報告

『女性から慰謝料、夫から慰謝料、親権、マンションをもらう為に、ホテルから出て来る場面の写真をしっかり撮って欲しい』とのこと、依頼人は冷静である

 

ラブホテルに入り、3時間が経過、時計は午後5時11分を指している

二人は共に出て来る、人目も気にせずに

その後、二人は直ぐに手をふり分かる、女性は急いでいる様子

 

二人の調査員は尾行を女性ひとりに移行する

何としても女性の自宅を突き止めなければならない

新横浜駅に入り新幹線に乗るようだ

調査員は慌てて新幹線の乗車券を購入 追跡は新大坂行き新幹線車両内となる

女性は窓際に座り外を寂しげに見ている

 

小田原駅で降りる 駅のロータリーには車が迎えに来ている

車内には男性と小学生と思われる少年と少女

4人は家族の様だ、調査員は直ぐにタクシー乗り場に待機していた

タクシーに乗る

調査員『前の車の後をつけて欲しい』

タクシー運転手『え、はい、やってみます』

2キロほど走った住宅街で車は停まり

真新しい一戸建てに家族であろう4人は笑いながら入って行った。

女性の住所は判明、表札から苗字を知る 

 

今日の出来事はひとつも逃さず写真におさめた

探偵としては満点である。

ここから先は、弁護士の仕事となる

近々、この家のポストに勧告書が法律事務所から届くのだろう

 

この家族の生末を帰り道、東海道線登り電車内で思う

 

ふたりの調査員は今日も帰り道は無言だ